福井・大飯原発:保安院、安全評価「妥当」 審査書受け、安全委3月中に結論(
2/14 毎日)
経済産業省原子力安全・保安院は13日、関西電力が提出した大飯原発3、4号機(福井県おおい町、定期検査で停止中)の安全評価(ストレステスト)について「妥当」とする審査書をまとめ、内閣府原子力安全委員会に報告した。今後、安全委は
外部の専門家6人を加えた検討会を開いて審査書の妥当性を判断し、
3月末までに結論を出すことを目指す。
検討会は、
安全委委員5人と原子炉工学の専門家など外部有識者6人で構成。保安院の評価に問題がないか技術的な視点から確認する。関電は昨秋、再稼働を目指して大飯原発3、4号機のストレステストの評価書を保安院に提出した。
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「原子力規制庁」への組織替えの前にどうしても1基動かしたいのですね。
久し振りに斑目原子力安全委員会委員長の働きぶりが、愛読している
田中隆作ジャーナルで読めます

保安院が審査書を安全委員会に提出したことにつき、意見聴取会委員の井野氏と後藤氏は抗議の声明を発表しています。
2012年2月13日
関西電力大飯 3・4 号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明
ストレステスト意見聴取会委員 井野博満・後藤政志
原子力安全・保安院は、本日、関西電力大飯原発3・4号機の一次評価を「妥当」と する審査書を原子力安全委員会に提出しました。私たちは、このような拙速なやり方は、 とうてい認められません。
2 月 8 日の第8回意見聴取会では、様々な技術的な課題が残されていることが明らか になりました。原子力安全・保安院も、その場で議論を終了するとは明言しませんでし た。当然、継続審議となると思いました。審査書が原子力安全委員会に提出されたこと に対して意見聴取会の委員として抗議します。
ストレステスト意見聴取会では、徹底して議論を尽くすことが、国民に対する原子力 安全・保安院の責務です。次のような根本的な問題が残っています。
(1)判断基準について、保安院は「福島第一原子力発電所を襲ったような地震・津 波が来襲しても同原子力発電所のような状況にならないことを技術的に確認する」としています。しかし、
津波の想定は 11.4 メートルで、福島事故の 14 メー トルよりも低くなっています。そもそも、福島事故は収束しておらず、原因もわからない状態です。
(続く)
(2)評価の対象、基準の適用について以下の技術的な疑問があります。 1 制御棒の挿入性を検討の対象から外しています。 2 基礎ボルトなど機器の強度については、安全率を削って評価しています。 3 原子炉建屋などの構造強度に関わる許容値について、耐震バックチェックの基準より甘い許容値を適用することを認めています。 4 本来の設備は福島原発事故前から改善せず、消防車や非常発電装置などの外部仮設設備だけで安全だとしています。
(3)ストレステストは、過酷事故対策の検証を含めた二次評価と合わせて評価しなければ、地域住民が安全性を判断する上では意味がありません。電力事業者は、 原子力安全・保安院の指示により、これを 2011 年末を目処に提出するはずでしたが、関西電力は二次評価結果を未だに提出していません。
原子力安全・保安院が、現時点で「妥当」としたことは、はじめに再稼働ありきの見切り発車と言わざるを得ません。このような姿勢こそが、福島原発事故を招いた要因です。このように原子力安全・保安院は、規制当局としての役割を十分に果たしていません。まずすべきことは、自らのありようについて根本的な反省をすることです。
本日の審査書の提出は、「安全性に関する総合的評価」とされるストレステスト評価の体をなしていません。